子ども用のおもちゃに溢れた現代、ネットでもおもちゃ屋さんでも、様々なおもちゃが手に入りますね。
そんな数多くのおもちゃの中から、今回は木製のおもちゃに焦点を当てて記事を書いていきたいと思います。
元幼稚園教諭であり、現役ママである筆者が、自分の子どもにおもちゃを選ぶ際に大切にしているポイントや、おすすめの木製おもちゃを紹介しています。
1.木育について
1-1.木育とは
1-2.木育の魅力
1-3.木育を取り入れるにあたって
1-4.木製のおもちゃを取り入れるメリット
2. 木のおもちゃの選び方
2-1. 子どもをよく観察する
2-2. インテリア・トイであること
2-3. シンプルであること
2-4. 発展性があること
まとめ
1.木育について
1-1.木育とは
きっとこの記事を読んでいただいている方は、「木育」というワードに興味があり記事を読んでいただいているのだろうと思います。
木育とは「子どもをはじめとするすべての人が木を身近に使っていくことを通じて、人と、木や森とのかかわりを主体的に考えられる豊かな心を育むこと」とされています。
木製品に触れた時、「理由は説明できないけれど、なんだか良い気分だな」と思ったことはありませんか?
自然の多い公園やキャンプ場に行った時に、気持ちの良い開放感を味わったことはありませんか?
おそらくたくさんの方に共感していただけると思います。
これは木材という素材が持つ効果だけではなく、日本人の生活が、古くから木や森と密接に関わってきたことが影響しているのではないかと言われています。
しかし、私達の生活はこの数十年で大きく変化しました。効率や利便性が最優先された結果、木製品はプラスチックや石油製品に変わってきました。
生活の中で「木」を感じる機会はどんどん少なくなってきています。
その結果、木材や木材を生み出す森林に対する関心が薄れ、同時に、木を使う技術や文化が廃れていくということも危惧される状況となっています。
こうした状況を変えていくために、また、「木を子どもの頃から身近に使っていくことを通じて、人と、木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育てたい(北海道HPから)」という思いがこめられて、北海道で「木育」という言葉が生まれ、全国各地に広がったのです。
実は「木育」という言葉は平成16年に北海道で生み出された言葉。
意外に新しい言葉なんですね。
1-2.木育の魅力
木や森と関わることで、下記のような心が育つことを期待されています。
■心身を健やかに保ち、思いやりと優しさが育つ
いつでも木に触れられる環境を整えることは心や体を健やかに保ち育みます。
木は長時間かけて育ち長く使える素材。
時間の経過とともに愛着など人の営みとの深い絆を生み出し、人や自然を大切にする思いやりを育むきっかけとなります。
■感性や社会性を高める
木のぬくもりや扱いやすさ、命の営みの体感、森林を舞台とした遊びなど、存分に想像力や創造性を発揮できる場や機会を提供することで、感性や社会性を育むことの大切さに気づくきっかけとなります。
■森林や環境に対する認識を高める
森林や木材が循環利用可能な再生資源であることなどの認識を持つことの土台となり、ゆくゆくは地球環境保全につながります。
1-3.木育を取り入れるにあたって
上記からも分かるように、木育とは、その機会を与えることによって効果が生まれるもの。
子どもが日常生活の中で勝手に学び取ってくれるものではありません。
だからと言って、勉強のように教え込むものでもありません。
大人がやるべきことは、木育の環境を用意し、子どもがその環境に密接に関わることができるようにサポートしてあげることです。
1-4.木製のおもちゃを取り入れるメリット
公園で自然に触れる、ベランダで作物を育てる、木製の家具を使う、木製のおもちゃで遊ぶ。これはどれも木育と呼ばれるものです。
まずは誰にでも簡単に取り入れられる木製のおもちゃで、木育の第一歩を踏み出してみませんか。
木製のおもちゃを選ぶことには、こんなメリットがあります。
① 人肌のような温かみがあり、違和感を覚えること無く長く集中して遊べる。
木製のおもちゃを持った時に、「冷たい!」と感じたことはありませんよね。
木は生きています。
木はおもちゃに姿を変えてもずっと生きていて、呼吸をしています。
呼吸をしながら常に収縮を繰り返しています。だから木のおもちゃには温かみがあるんですね。
一方、そもそもプラスチックで頬をスリスリしようと思うことは無いのではないでしょうか。
木製のおもちゃは人肌のような温かみがあり、赤ちゃんでも違和感を感じることなく遊び始めることができます。
②木製のおもちゃには抽象的な形が多いので、創造力や発想力が養われる
木製のおもちゃには流し込むような型がありません。
そのためプラスチックのような細かい設計はできませんが、抽象的な形が多いのが特徴です。
子どもの創造力や発想力が養われます。
③成長に応じて様々な遊び方ができる、発展性がある
木のおもちゃには発展性があります。
例えば積み木を例に挙げてみると、
0歳の時には「舐めて感触を楽しむ」「大人が積んだものを崩す」
1歳の時には「積み上げる」
2歳以降は「形を作る」
など、とても長い間使用することができます。
遊び方が決められていないシンプルなものだからこそ、発展性があるのです。
筆者は2歳と5歳の子どもがいますが、5歳の息子は0歳の時に購入した積み木を未だによく使って遊んでいます。
2. 木のおもちゃの選び方
おもちゃの選び方については、現役子育てママ、幼児教育の専門家、おもちゃインストラクターなど、多くの方が選び方の解説をしています。
そのため書き手によって内容が相違していますよね。
ここからは、筆者自身がおもちゃを選ぶ際に大事にしていることを紹介したいと思います。
これもひとつの考え方だと思って読んでみてください。
2-1. 子どもをよく観察する
子どもが現在「何に強く興味を持ち、集中しているのか」をよく観察してみてください。
どんなに良い木のおもちゃを与えても、それが子どもの発達や興味に適したものでなければ、せっかくの木のおもちゃも宝の持ち腐れです。
子どもが興味を持ちそうな環境・おもちゃを用意してあげる必要があります。
そのために、子どもの「今」を観察する日を設けてみてください。
「こんなことに興味を持っているのか」「これがうまくできなくて困っているのだな」「ここに邪魔になるものがあったのね」など、観察することで気付くことがあると思います。
子育てをしていると、つい口を出して、先回りをして、手を出してしまうことがあります。
そうすると子どもにとって本当に必要なものが何なのか、本当の姿が見えなくなってしまいます。
一日だけ、口も出さずに、先回りもせずに、子どもの「今」を観察してみましょう。
例「物をひたすら床に落としている1歳児」
私達大人は、地面に置かれていない物が、下で支えられていないと重力で地面に落ちるという物理的なことを、もはや当たり前のこととして捉えていますよね。
しかし、赤ちゃんはそうした法則を知りません。
そのため自分の手を離れた物が音を立てて地面に落ちていくのが楽しくてたまりません。
そんな時には「落とす」ことができるおもちゃを選んでみましょう。
ぽっとん落とし
出典:ETSY
2-2. インテリア・トイであること
日本で販売されているおもちゃは、遊び終えたら思わず棚の中に隠してしまいたくなるものが多いと感じます。
インテリアに馴染まず、視界から消したくなるようなおもちゃです。
実際、モノトーンインテリアでボックスの中に隠している方が増えていますよね。
しかし、子どもも大人も、視界から消えると頭の中からもその存在が消えてしまっていると思いませんか?
棚の中から久しぶりに出てきたおもちゃに「そういえばこんなおもちゃ買ってた!」なんてことがありませんでしたか?
できれば、リビングの棚の上や出窓、玄関の棚の上に飾っておきたくなるような木のおもちゃを選んでください。
毎日を過ごす住空間のセンスに合わせたおもちゃ選びは、心の豊かさに加え、暮らしに彩りを添えてくれますよ。
インテリア・トイになるような美しい木のおもちゃ
出典:Anliette
出典:Little Dutch
出典:Anliette
2-3. シンプルであること
子どもの遊びに過干渉にならない、シンプルな木のおもちゃを選びましょう。
子どもは遊びの天才です。シンプルでスタンダードな物で、楽しさを創り出すことができる遊びの天才時期は、0歳〜6歳までのたった6年間しかないと言われています。
面倒見がよすぎるハイテク玩具はあまり必要ではありません。
現在溢れ返っているおもちゃは、ハイテク玩具であり、音や動きなど刺激が過剰なものが多いです。
おもちゃの方から目や耳に飛び込んでくるような、刺激が過剰なものは、子どもたちを遊びの世界で栄養過多にしてしまいます。
おもちゃが子どもに近寄ってくるのではなく、子どもの方からおもちゃという道具に果敢にアプローチすることができる、シンプルなものを選びましょう。
子どもの創造力を養えるシンプルな木のおもちゃ
2-4. 発展性があること
例えば戦隊モノのロボットや消防車型の基地など、遊び方や使い方が限定されたおもちゃに対して、子どもは素直にその遊び方をします。
初めのうちは夢中に、そして楽しそうに遊んでいます。
けれど、しばらく経つと飽きてしまって見向きもしなくなってしまいます。
このように、遊び方に発展性のないおもちゃは、子供たちから忘れられて、見放されていくパターンが多いと思います。
木のおもちゃは、シンプルなものが多いです。子どもたちが想像力を膨らませ、自由に遊べることが木のおもちゃの一番の特徴かもしれません。
発展性のある木のおもちゃ
出典:Amazon
まとめ
木のおもちゃが子どもの発達に与える影響や、木のおもちゃの選び方について説明してきました。
子どもが興味を持ちそうな木製のおもちゃはありましたか?
子どもは遊びの中でさまざまなことを自然と学び取っていきますが、それは大人が環境を容易することでこそ可能になります。
大人がやるべきことは、木育の環境を用意し、子どもがその環境に密接に関わることができるようにサポートしてあげることです。
この記事をご覧になることで、少しでも木のおもちゃの魅力が伝わったら嬉しいです。